ポルシェに乗りたい強欲で傲慢で嫉妬深い同志へ
私は以前ポルシェに乗っていました。
911というポルシェの代名詞とも言える存在。
その中の997型というモデルです。
大学を卒業して地元の大手メーカーに就職した私は、プライベートで色々あり、闇堕ちを経て、自らのアイデンティティを求めていました。
そんな時にたどり着いた考えが、
・社会人1年目でポルシェに乗ろうとする人なんていないのでは。
・そもそも買える人もほとんどいないのでは。
・だったら自分がそれを実現すれば良いのでは。
といったものでした。
ちなみにフェラーリやランボルギーニじゃないのは金額的に無理なこともありますが、乗っていた知り合いが頻繁に修理に出していたのでそもそも候補に入っていませんでした(乗れない期間がストレスになるタイプなので)。
当時は走り屋もどきのことをしていたので、カイエンやマカンは無し。
ボクスターやケイマンも素晴らしい車ですが、やっぱり欲しいのは911。
さすがに新車は手が出せないので、中古で拘って探すことに決めました。
そして中古車サイトや高級外車を扱っていそうなショップのHPで条件に合う車両をひたすら探す日々が始まりました。
具体的には以下の条件で探していました。
・997型であること
・カレラSであること
・MTであること
・カップエアロが付いていること
・スポーツクロノが付いていること
・スポーツシャシーが付いていること
・スピードイエローかキャララホワイトであること
捜索は難航し、あっという間に3か月が経ってしまいました。
このまま買えずに社会人2年目になってしまうのでは…
条件が厳しすぎるのか…
そう考えはじめた矢先、ボデーがガーズレッドであることとスポーツシャシーがないこと以外は条件に合致する車両を東京のショップのHPで見つけました。
見つけるなりショップに即電話をかけて実車を見たい旨を伝えたところ
「ほんの15分前に掲載したところだが、すでに明後日に実車確認のアポが入っている」
とのことだったので
「明日見に行きます」
と即答。
そこからはスピーディに事が進みました。
翌朝会社に突発休の連絡を入れて新幹線に飛び乗って東京のショップへ向かい、目的の車両の状態を一通りチェック。
問題が無いことを確認してハンコを押して手付金として20万円だけお支払い。
労金から500万円と別の会社から残りの金額を借りてお支払い。
そしてめでたくポルシェオーナーとなりました。
と、前置きが長くなってしまいましたが、前述の通り私は以前ポルシェに乗っていました。
社会人1年目に購入して以後10年近く乗り続けましたが、結婚を機に手放してしまいました。
妻の両親から結婚を認めてもらうためにポルシェを手放さなくてはなりませんでした。
その頃にはポルシェ、というか車そのものから気持ちが離れてきていたこともあり、それほど抵抗もなく手放す決断をしていました。
じゃあ今の気持ちはどうなのか。
ポルシェを手放すこと自体は当時必要なことだったことなので、後悔や未練はありません。
その後に買った普通のファミリーカーも燃費は良いし荷物が乗って使い勝手が良いしATで楽だし苦じゃありません。
それでもやっぱり、またポルシェに乗りたい。
背中を突き飛ばされるような加速。
愛らしさとカッコ良さの共存したルックス。
ポルシェという特別感。
そしてその車に乗ってる自分。
全てが大好きでした。
今の私は恵まれた環境にいると思います。
仕事は大変ながらも生活の基盤を支えるのに充分な収入があります。
家には愛する妻と幼い子供がいて、理想的な穏やかな家庭を築いています。
それじゃ不満なのかと言われるとYesともNoとも言えなくて、不満というより不安が適切なときもあって、その一方で幸せな時間を噛み締めているときもあって。
言葉にし難い複雑な感情です。
ただ間違いないのは、今の自分は好きにはなれないということです。
何かやりたいことに対して実現に向けた具体的なアクションを起こすわけでもなく、なんとなくモヤっとした想いを抱えているだけ。
ポルシェに子供を乗せてドライブをしている家族を羨んでいるだけ。
せっかくの自分の人生なのだから、いつだって自分のことくらいは好きでいたい。
自分が好きだった頃っていつだろう、と思うとそれはポルシェに乗っていた頃。
だから私は、ポルシェに乗りたい。
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ちなみにポルシェに乗ることでアイデンティティを確立できるかどうかは、個人の価値観や所属するコミュニティに依ります。
私の場合は公私共に「ポルシェに乗っている人」として認識をしてもらうことができ、私自身も自分を特別なものに感じていたので、目的は果たせたかと思います。
ポルシェに乗っていたおかげで交友関係や趣味の幅も広がり、人生を豊かにする事ができました。
ただ当然のことながら上は青天井です。
若くして成功を収めている人なんて数え切れないくらいいますし、10代にして高級外車を乗り回す人も当然のようにいます。
そういう世界があることを知ってしまうと、良くも悪くもポルシェの価値観が揺らいでしまう可能性があります。
今はSNSを通じて、そういった世界の住人と簡単につながる事ができるようになりました。
人によってはポルシェが特別なものではなくなってしまうかもしれません。
また別の人にとっては、より身近なものに感じて購入することへの意欲が向上するかもしれません。
それでもポルシェに乗りたい同志の学生へ。
真っ当なルートであれば大企業に進むのが一番の近道です。
1年目でも500-1000万円くらいはローンが組める企業はたくさんあります。
期間は最長で組んで、返せそうなときに一括で返しましょう。
普通に生活できます、カツカツどころかそれなりに贅沢もできます。
ポルシェに乗りたい同志の独り身の社会人へ。
収支計算を一度しっかりしてみましょう。
将来を考えている恋人がいるのであれば、しっかり話をしましょう。
愛する人がいるのであれば、人生も収入も自分だけのものじゃないと思います。
ポルシェに乗りたい同志の既婚の社会人へ。
私と同じような気持ちを抱えていましたら一緒に頑張りましょう。
気持ちに整理をつけることに頑張るのか、理想を実現するために頑張るのか、はたまた別の手段があるのか…それは私たち次第ですが。
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